コラム

目次


第17回「コロナ禍における深い呼吸の指針」

 折しも、「鬼滅の刃」が世界的な大ヒットを記録しました。マスクの副反応とも言うべき弊害もあり「呼吸」に注目が集まるタイミングでの超絶ヒットに、大きな流れを感じました。
鬼滅の刃では「呼吸を深く続ける」ということを基本としています。我々の「コロナ禍の呼吸」も同様です。
  「深くはく」「深く吸う」「続ける」
を基本にして下さい。以下に、呼吸のエクササイズとポイントを書きます。
5分でよいので意識して呼吸してみましよう!!!できる方、時間のある方はもっと10分以上継続しても構いません。

(1) 呼吸の基本は「息を深くはく
 まず「下腹」を締めることを意識して、全集中でゆっくりと「息をはく」。
その際、下腹が使えない、うまく動かないなどの感覚のある方はご自身の両手のひらを、お臍の下にあてて、ゆっくり優しく深く押しながら、息をはきましょう。
数回繰り返したら、今度は季肋部(肋骨の下の部分の骨のないところ)を意識して息をはきます。
イメージとしては季肋部を斜め上に押し上げるように、ゆっくり細く呼吸をします。「フゥ〜〜〜っ」と、向かいの壁に息を貫くイメージです。

(2)息を吸うときのポイント
 一度息をはいてから、吸いましょう。肺に残っている空気が多いと吸いづらいです。
息をできるだけはいた後に、深くゆっくり吸います。基本、息を吸うのは自然にできることなので、このくらいの意識できる方が多いです。
息が吸いづらいと感じる場合、もう一度、上の(1)の手順で息をはいてみましょう。それでもできない場合、肺が動きにくくなっている可能性があります。少し、肺を動かすために、吸い切ったら3〜5秒程度、息をとめ、そこからゆっくり息をはいてみましょう。
これでも呼吸が浅い場合は、肋骨をほぐすストレッチが効果的です。
運動指導は当院にて行っておりますので、ご来院の際にお声掛けください。


第16回「コロナ禍の特徴的な症状②」

~ コロナ関連症~

前回は第1回目として、腹部硬結について紹介しました。第2回はその進行形、胸肋部硬結についてです。

〇コロナ禍・胸肋部硬結(ハの字型)
 腹部硬結の進行とともに、胸肋部にも症状が出ています。
  「横隔膜の真上が硬く分厚くなっている
一言で言うならばそのような状態です。
初期では、肋骨の下部あたりに深い「シワ」ができます。基本的な自覚症状は上述の「雪だるま型」と同じです。
横隔膜の真上の皮膚(と脂肪部分)が、指でつまめるほどになると、横隔膜本来の機能にも悪影響が出て、呼吸が浅くなり酸欠に近い状態になります。ひどい場合は、前だけなく体の前面の肋骨下部を「ハ」の字になぞって背中や腰までぐるっと、胴体を一周なんて方も。
マスクからの呼吸のしづらさの影響は深刻です。しかしながら、現状、マスクをしないという選択肢はありません。
次回は、自宅でできる呼吸法をご紹介します。



第15回「コロナ禍の特徴的な症状①」

~ コロナ関連症~

2020年 人類は未曾有の危機「新型コロナウィルス」に地球規模で対峙することになりました。
その中で、日本人なら誰しも影響を受けていますが、体にも、新型コロナウィルス自体には未感染でも、生活習慣の変化によって体に異変をきたしています。2021年、新型コロナ禍となり、もう1年経ちました。時間の経過とともに、新・生活習慣病が蔓延してきました。そのいくつかを紹介しましょう。今回はその1回目となります。


〇コロナ禍・腹部硬結(雪だるま型)
 自覚症状:呼吸が浅い(息がはきにくい、吸いにくい)、胃痛・胃もたれ・ゲップが出る、便秘、喉のつまり感、咳、めまい、神経痛(神経痛については個別に紹介予定)など

 マスクの装着により呼吸が浅くなるのが原因です。お臍の周りと、みぞおちの「胃」の部分の二箇所に塊ができます。拳大(こぶしだい)くらいの塊を持つ患者さんを多く拝見しますが、もっと大きい場合も小さい場合もあります。
ちょうど形状的には「雪だるま」のように見えます。硬結といって、触るとギューッと硬くなっているのがわかります。

 呼吸が浅くなると、横隔膜の動きが悪くなります。呼吸には腹式呼吸と胸式呼吸がありますが、腹式呼吸がうまくできず、息がはききれない、そのために息をたくさん吸えない方が多発しています。
男性には、腹式呼吸を自然にできる方が多いですが、男性でも、息をはききれない方が急増しました。息をはき出す量が不十分だと、吸うこともやりにくくなります。女性は元々、胸式呼吸ですから、なおさら、この傾向は顕著です。

 


※ 胸式呼吸 「横隔膜と外肋間筋」の2つで吸い、呼気では力が抜けて出ていくので筋肉は関与しない。
※ 腹式呼吸 横隔膜の運動によって行われる。吸気時には、外肋間筋と肋骨挙筋の二つが横隔膜とともに使われる。一方、呼気時には、内肋間筋・最内肋間筋・肋下筋・胸横筋の深胸筋のによって行われる。


次回は、胸肋部硬結(八の字型)についてご紹介します。

第14回 「暑い長夏を乗り切る食養生」

記録的な梅雨長、猛暑、コロナ鬱に見舞われている2020年。こんなときは、どんな食べ物が養生になるのでしょうか。

スイカ、キュウリなどの瓜とプチトマトなどがオススメ。スイカは「天然の白虎湯」といわれるほど体によく、体を冷やすパワーを「水(スイ)」といいますが、この「水」のパワーを補ってくれます。瓜の類も「水」のパワーを補体って、体を沈静してくれます。暑いときは、この力を大きく使うので、補う必要があるのです。冬瓜やスイカの皮などでスープを作りましょう。暑さで寝つきが悪い、不眠などがあるときも効果があります。

トマトは赤いので、「火」のパワーがありますが、夏は暑く活動的になるので、心臓と血流を補う赤い食べ物はよいです。特に、小さな果実には大きなパワーが宿ると東洋医学でえは考えます。紫蘇で作ったジュースも暑さに強い体を作ります。

また、湿気の多いときは、黄色い食べ物がいいです。トウモロコシやキビなどの穀類はオススメの食品です。食物繊維に富み、体の無駄なお水を脱水してくれます。浮腫みが気になる方へもオススメしております。

立秋後は、東洋医学としては、「秋」になるので、加熱により食品の消化吸収を楽にしてあげるのがよい養生法。短時間加熱してから冷やしてもよいでしょう。また、適度にお酢でしめるのも、食べ物は分解しやすくなります。夏バテなど季節バテのある方は、食欲増進にもつながります。

第13回 「立秋とムシムシ台風」

~ カラダの湿気をとって気持ちよく過ごす ~

いくら暑くても、8月7日頃は立秋となり「秋」に突入です。以前のコラムにも書きましたが、秋はカラダの「気」は下へ下へとだんだんと収まっていく流れになります。そこで、おとなしく過ごすのが基本となります。
同時に、台風が多いこの季節、ムシムシの湿気が半端なくあります。

カラダも湿気の影響を受けて、不活性になり、どうもスッキリしない、関節痛、腰痛、神経痛などの持病が再発あるいは悪化される方も増えます。また、エアコンの影響などで、骨から冷えるのも、これら疾患の原因になっています。

こういう時には、ゆっくりとストレッチをしましょう。暑いときに運動すると熱中症のリスクが高まります。朝晩の涼しい時間、もしくは室内でストレッチがよいです。ストレッチは当院でも運動指導として行っていますが、やりかたが分からない方や腰痛や頸

部痛がキツイ方は、複式呼吸をゆっくりと行います。
① まず「息をはく」ウの形の口をして細く長く吐きます。
② 「息を吸う」鼻からゆっくり吸います。この時、息を吸えるだけ吸い込むイメージです。吸いきったら、一瞬でもよいので止めてみましょう。
③ 「息をはききる」ウの形の口で10秒以上かけてゆっくり細く長く吐きます。
④ これを5分間続けます。

第12回 「秋になったら運動は控えめにおとなしくしよう」

~ 秋になったらパワーを足元へため込む ~

スポーツの秋といいますが、養生の観点で考えると秋はできるだけおとなしく過ごしてほしい季節です。春と夏で上へ上へと伸びてきたパワーが、反転して下へ下へとしまっていきます。季節としては、陽(春・夏)から陰(秋・冬)へ転じます。そういう意味では、陽の季節こそスポーツの季節です。秋はパワーロスを最小限にしたいのです。

とはいえ、秋もこれまでスポーツを続けてきた方は、その運動は継続することは構いません。体が慣れているので、パワーロスが小さくて済むからです。

秋には体にいいパワーをため込んで、きたるべき冬の準備をしましょう。具体的には、キノコを食べましょう。収穫の秋ですから、季節のものを美味しく食べて、多少の体重増加もありです。体重を維持したい、痩せたいという方は太りやすい季節ですから、当院のすすめる5:3:2ダイエットをきちんとしましょう。そうすれば、体重増加の暴走などはありません。

第11回 「立秋までに体重をコントロールしよう」

~ 立秋になると痩せにくくなる ~

人間の体には、体内時計というものが備わっています。体内時計が日照時間に影響を受けているのは明らかです。夏至は一番日照時間が長くなります。そして、夏至をピークに1日でも過ぎれば、毎日毎日少しずつ日照時間は短くなり、ついに冬至を迎え日照時間は一番短くなるのです。8月7日に立秋を迎え、秋になります。まだまだ暑くても、日照時間の減少、日没の早まりなどから、人間は秋を感じ、なるべくたくさん食べて、脂肪を蓄積して来るべき冬に備えようとするのです。夏こそ、脂肪はどんどん燃焼しますから、粗食で運動することで、体をそぎましょう。

第10回 「夏の養生は遅寝早起き」

~ 夏と火と苦味の法則~

5月5日頃立夏を迎え、初夏となります。夏は「心」と「火」の季節です。最も陽のパワーが増して、植物でいうと木が茂ってますます伸びて成長していく時です。この季節は「心」、つまり心臓と脈管の病気の方は気を付けたほうがよいです。例えば、高血圧、心臓の疾患、脳疾患などです。ご家族にこのような症状のある方は、自身もその可能性に留意しておくできでしょう。

予防としては「苦味」のあるものがおススメです。ドクダミをサラダにするのはいい漢方(薬菜)です。ドクダミは花の咲く前のものが柔らかくて美味しいです。これを塩揉みにして、水洗いして、砂糖、ごま油、ラー油、しょうゆ、ゴマ、豆板醤などでドレッシングをつくり、お好みに味付けをします。炒めたニンニクやショウガをいれるのも美味です。

食養生として手っ取り早いのは「お茶」を飲むことです。日本でも八十八夜は新茶のシーズンです。もちろん、温かいお茶がいいです。冷たいものは臓器を疲れさせるので、控えたほうが賢明です。また、スイカもいいです。スイカは腎のパワーをアップさせるので、心の火が燃え上がると、腎の水を使って消化することができます。

さて、夏にきちんと陽の氣が育っていると、陰の季節である秋冬に健康に過ごすことができます。夏にきちんと陽が育たないと、秋冬には体調を崩します。東洋医学では一陽があり、一陰あります。陽はすべての事象の始まりですから、秋冬の体調の調整は「陽」から始まると考えましょう。

夏の養生ですが、夜は遅く寝て朝は早起きましょう。これは春も同じですが、日の出が早くなり、日の入りが遅くなるので、睡眠時間自体は一番短くなりますし、それがよい養生です。朝早起きをしてお散歩するのもよいでしょう。身体を動かす季節ですが、日中暑い時間に運動すると熱中症などの心配もあります。特にご年配の方や、身体の弱い方、病後の方は日中の運動だけでなく、行動も避けたほうがよいでしょう。しかし、全般的には身体を動かすには適した季節です。多少、調子の悪さを感じても、動かしながらのほうが治りやすい季節でもあります。

第9回 「清明には草花を愛でる」

~ 天清く、地明るいといわれる清明 ~

天地がすがすがしく明るい空気に満ちるといわれる清明は、中国では祖先の墓参りをする節気として大事にされています。農作業においては『清明より遅れて種まきや植林しない』と言われ、ガーデニングなどを始める今年ラストの好機でもあります。

この季節は、長患いをしている方や、偏食がすぎる方は体調が悪化することもあります。そんな時は情志のバランスをとるため、喜びすぎても、怒りすぎてもダメです。庭や道にある草花を愛で、心を落ち着けましょう。いい香りをかいで大きく深呼吸です。おおらかな気持ちになり自然と微笑みたくなったら◎です。

桜の季節でもありますね。満開の桜が散っていく季節。花冷えともいいますが、お花見の際は少し暖かい服装でお出かけくださいね。

第8回 「春分には健康チェックをしよう」

~ 春分に陰陽バランスを整える ~

暑さ寒さも彼岸までとはよくいったもので、春分を過ぎるとぐっと暖かくなってきます。昼と夜の時間が等しくなる春分の時点では、体の陰陽のバランスが整っていて欲しいのです。難しいことを考えずに、「体から不調の訴えがあるのかないのか」に耳をすましましょう。この時期の不調は、一つの不調が五臓に及ぶといいます。例えば、胃もたれする、便秘などの内臓の不調があるのなら治す努力をするということです。筋肉や骨や神経はどうでしょう?痛みや痺れはありませんか?体を動かしてみて、動かないところはまずはストレッチです。自分の体と対話して何が必要か聞いてみましょう。

身体を動しながらでも、治っていく時期でもあります。少し歩いてみるのもいいでしょう。1日の歩数の目安ですが、年齢により異なり、国が掲げる健康の指針の一つ「健康日本21」では、成人男性9200歩・女性8300歩以上を一日の目標値としています。ちなみに70歳以上の場合は男性6700歩、女性5900歩です。1万歩は一つの目安ではありますが、年齢と体力を考えて歩数を考えるのは大切なことです。

なにか気になることがありましたら、当院への受診をおすすめします。

第7回 「啓蟄には苦味がよい」

~ 虫も目覚める啓蟄にフキノトウを食べましょう ~

山の雪も溶け始めるといよいよ山菜の季節です。フキノトウ、タラの芽、ウドなどの山菜の味は苦くて、好き嫌いがあるかもしれません。苦味には神経を鎮静させて、心と循環器を強化し、体の余分な熱を冷まし、体内の余分な水分や老廃物を取り除く作用があります。春になり、高まりすぎた肝のパワーを鎮静させ、体を健やかに保ちましょう。

第6回 「雨水の養生と『肝』の話」

雨水(2月19日)になると春雨といいますが、雨がたくさん降り、それによりますます草木は芽吹きます。春は『肝』の季節です。立春を過ぎ、雨水になると肝の氣が一度にあがり強くなりすぎることで、『脾胃』を痛めることがあります。(これは五行では「木剋土」といいます。)この時期に『脾胃』を養うと人間の五臓の生理機能があがります。

また、『肝』は血を貯蔵し調整する器官ですが、この時期に疏泄といって肝が健やかに流れると、長夏といわれる蒸し暑い夏も、秋も健やかになります。具体的には、穀物をよく噛むこと、レバほうれん草炒め、補薬菜(ネギ、ニラ、ニンニク、ショウガ)を食べることがおすすめです。

第5回 「立春と春の養生法」

~ 春風、骨まで刺す~

2月4日に立春を迎えると、春がきます。春とはいえまだ寒い冬だと思ってらっしゃる方も多いとおもいます。中国古来の自然哲学では、日照時間に基づき、1日が24時間で、1年が365.25日であるということを見出していました。そして太陽の一番長い時を夏至、短い時を冬至として、四季をさだめました。春がいつからというのもこの日照時間によって決められました。

立春を過ぎると、日がだんだんと長くなって日照時間が長くなってくるので草木も芽吹き始めます。人間の体も新陳代謝が活発になってきます。そのためには「水」が必要になります。いつもより多めに水を摂ってください。もちろん、お湯や白湯はおススメです。(できれば1日に2リットル以上はほしいところです。)

衣服については考えてみましょう。「春風骨まで刺す」といいます。風が強く冷たく実際の体感温度は実際の気温より低くなりますので、外をぱっと見た日差しよりは1枚厚着がよいでしょう。暖かくても下半身を温めるのが吉です。温度調整は上着でしましょう。ミニスカートなどはご法度です。また、髪も服もゆるめてのびやかにしているのがいいでしょう。

睡眠ですが、少しの夜更かしはかまわないけれど朝は早く起きることです。朝早く起きて、ゆったりと身体を動かして心身ともに陽のパワーを上へ上へと伸ばしましょう。

第4回 「立冬を過ぎたら冬対策を万全に」

~ 冬はおとなしくして、お肉を食べて、よく眠る ~

11月7日は立冬です。日暮れも早くなり、日照時間が短くなり、冬の体になってきました。冬の養生の基本は、秋に引き続きおとなしくして汗をかかないようにすることです。慣れないスポーツなどはご法度です。

睡眠時間は長くしたいので、早寝をしてゆっくり起きるようにしましょう。洋服は暖かさを優先しましょう。ただし、着ぶくれNG! 汗をかいたらいけません。汗をかくと、「氣」が逃げてしまいます。食べ物は高タンパク質食がよいです。冬はお肉を食べることも健康作りになります。まずは冬至まで健やかに過ごしていきましょう。12月に入ると忘年会やクリスマスなどのイベントが増えますが、飲みすぎや食べ過ぎ、夜更かしをしないようにしましょうね。どこかから、「それは無理」という声が聞こえてきそうですが、養生とはそういうものです。(コロナ禍では簡単でしょうか?)

第3回 「五行の基本」

~ 五行説 ~

五行説は陰陽論と並び東洋医学の根本をなすもので、この世に存在するすべてのものを「木・火・土・金・水」の5つの属性にわけて、その相互関係を明らかにする考え方です。5つの要素は互いに影響しあって、ある要素から別の要素へと関連、循環します。

「木」は植物が芽吹き、成長していく様子を表します。季節は『春』を表します。肝と関連します。

「火」は火が燃える様子を表します。季節は『夏』を表します。心と関連します。

「土」は大地を表して、万物を育て保護します。季節は『長夏』と『季節の変わり目』を表します。脾と関連します。

「金」は金属を表し、光り輝く様子です。植物が結実する様子ともいえます。季節は『秋』を表します。肺と関連します。

「水」は湧きいずる水を表します。静かに沈みしまっておくイメージ。大地の中で眠っている様子ともいえます。季節は『冬』を表します。腎と関連します。

これら5つの要素、つまりエネルギーについてはそれぞれの特徴をとらえること、次には5つの相関関係に把握すること。東洋医学の基本であるのと同時に、五行説を理解、活用することによって、東洋医学への理解と活用は飛躍的に高まります。

五芒星イラスト

 

第2回 「陰陽パワー」

~ 生命エネルギーの基本は陰と陽のパワー ~

陰陽論は古代中国から続く自然哲学であり、東洋医学の土台の一つをなしています。自然をみると、天と地、昼と夜、火と水などのように、いっさいの現象はすべて正と反の二つの面をもちます。世界の本質は気であり、陰陽の二気の対立と統一によるとされています。

人間ももちろん陰陽両方のパワーが必要になります。陰と陽のバランスが整ったとき人間は健康であり、陰陽のパワーバランスが崩れると病気になるというわけです。生命エネルギーの大きさだけにとどまらず、体全体の陰と陽のバランスが大切なのです。これを陰陽依存といいます。

陰陽は二元論であって、全てのものは陰と陽に分類されます。どちらか一つでは成り立たないのです。例えば、こんな感じです。

陽〉上 左 外 末端 昼 男 幼 熱 
陰〉下 右 内 中心 夜 女 老 寒

陰陽にはリズムがあります。

第1回 「養生と生命力」

~ 養生法とは「生命エネルギーを補い続け最高の健康を維持する技」~

「生を養う」と書き「養生」とよみます。「生」つまり生命エネルギーを補い維持しつづける方法を身につけることで、究極の健康を得て、長寿を実現できる、これが養生法です。反対に生命エネルギーが減ると不調になり、老いて、ついには尽きて死に至ります。

 間は大きく二つのエネルギーをもっていると考えます。一つは「先天の精」といわれる親から授かった生まれながらのエネルギーです。これは腎から発し、臍下丹田(お臍の下)に宿ります。

もう一つは「後天の精」で、主に水穀、つまりは食べ物、飲み物によって補充されていくエネルギーです。生まれもったエネルギーができるだけ、陽のままであるように守り、後天の精を補っていくこと。言い換えると季節に合わせて衣服、生活習慣、環境を整え、賢い食生活をしていくことこそ養生の基本なのです。当院では、これに加えて、養生の鍼灸治療を行っています。特に、立春、立秋、冬至などの節目には治療をおススメしております。